薬剤アレルギー

どんな病気?

 薬剤アレルギーの多くは発疹(薬疹)として現れます。他に肝機能障害や間質性肺炎などが起こる場合もあります。ここでは主に薬疹について述べてみましょう。

 薬疹とは、薬剤を摂取中または中止直後に出現する皮膚症状および粘膜症状をいいます。

診断のポイント

【1】薬剤の摂取と皮疹、粘膜疹の消長との関連をしっかり把握することが大切です。ぜひ的確な情報を医師にお伝え下さい。

 薬剤摂取の経路は、内服、注射、坐薬などのどれであっても薬疹は出現します。多くは摂取開始後7〜14日後です。発疹の消長と薬剤歴との関係がはっきりすれば、可能性のある薬剤をしぼることが可能となります。

【2】皮疹・粘膜疹の分布

 薬疹は、ほとんどの炎症性皮膚疾患とよく似た症状を呈します。

 従って、それぞれの病気と鑑別する必要がでてきます。通常は薬疹では左右対称性にみられることが多く、またそう痒を伴うことが多いです。

 

 

 

 

 

 

 また固定薬疹(右の写真)や重症型の多形滲出性紅斑(スティーブンソン・ジョンソン症候群)などの粘膜疹を伴う特殊な型をとる場合もあります。

 

 

 

 

注意点

【1】従って薬剤摂取歴のある人に皮疹がみられた場合には、必ず薬疹を念頭におく必要があります。例えば、風疹に類似した半米粒大の紅斑が、ほぼ全身に播種状にみられたときには、まず薬疹、ウイルス感染、細菌感染などを疑います。そう痒があり、薬剤摂取歴があれば、薬疹の可能性が高くなります。

【2】固定薬疹やStevens‐Johnson症候群、TENなどの特殊型がありますので注意が必要です。

【3】特殊型のうち、光によって誘発されるタイプは、日光裸露部に皮疹が出現する特徴をもつので皮疹の分布にも注意する必要があります。

【4】じんま疹が出現するものでは、他のアナフィラキシー症状が出ている場合あるので注意が必要です。

【5】発熱、全身倦怠、悪心、嘔吐、下痢などの症状が出る場合もあります。

検査について

【1】末血の検査、特に好酸球増多と肝機能障害  薬疹の場合、しばしば末血の血液像で、好酸球増多を伴うことがあります。また肝機能障害、とくにGOT、GPTが上昇する場合がありますので、ときに生化学検査を行います。

確定診断をするには・・・

 薬疹の場合の確定診断は、摂取薬剤の中止による症状の軽快と、再投与による症状の再燃(再び悪くなること)です。しかしStevens‐Johnson症候群、TENなどの型では、再投与による危険性を考慮して、再投与は行わないほうがよいでしょう。

 確定診断のためには、以下に述べるいくつかの方法が行われますが決め手は、ありません。

【1】貼布試験

 疑われる薬剤を貼布試験用に調剤し、パッチテスト用絆創膏に塗布して、通常のパッチテストに準じて施行します。

【2】スクラッチ・テスト

  同様に、スクラッチした皮膚に行います。

【3】皮内反応

 原則として注射薬に対して行います。ツベルクリン反応と同じ方法です。

【4】内服テスト  通常量の1/10量から行うとされていますが、この量で発疹が誘発されることは多くはありません。従って多くの場合、次第に増量して、最終的には常用量を内服します。

 他に lymphocyte stimulation test(LST)がありますが、まだ信頼性のおけるテストにはなっていません。

予防は?

 怪しいと思ったら、放置しないで、積極的に医師に尋ねて下さい。わかる範囲で誠実にお答えしたいと思います。(^_^;)

治療は?

 止めれば多くの場合、自然に治りますが、ひどい場合は、ステロイドの全身投与を行います。

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