蕁麻疹(じんま疹・じんましん)

どんな病気?

 じんま疹は、突然、皮膚の一部がかゆくなって赤く腫れ数十分もすれば多くは消えていく病気です。じんま疹にはたくさんの種類がありますが大きくわけると、食事、薬剤、物理的な刺激(接触、日光、機械的刺激、寒冷、運動)など特定の刺激によっておこるタイプと、きまった刺激がわからないままに出没するタイプとがあります。

 じんま疹になるには、何らかのきっかけが必要です。熱がでたり、頭痛がしたり、体がだるかったり、のどが痛かったり、咳がでたり、腹痛や下痢があったりなどの感染症状がきっかけになって、じんま疹が出てくることが最近わかってきました。これらの感染症の症状が始まってから数日以内にじんま疹が出てくることが多いのですが、ときには逆にじんま疹の方が先に出て、感染症の症状が後から出てくることもあります。

 感染症の他に、虫さされや輸血でじんま疹が出ることもあります。この場合は、きっかけから1日以内という短期間に出ることが特徴です。

 じんま疹はアレルギーの代名詞のようにいわれるわりには、アレルギー反応を引き起こすアレルゲンが、なかなか見つかりませんでしたが、最近、その謎が少しずつ明らかになってきました。

 この病気には血液中にじんま疹を起こす物質が流れていると考えられます。この物質は皮膚の肥満細胞と血液中の好塩基球(白血球の一種)に働いて、ヒスタミンを放出させる作用を発揮します。この結果、かゆみやむくみが起こります。反応する相手によってこれは三つに分けられます。

●一つ目は食物や薬のような体外からの侵入物に対する反応で、IgEという抗体が原因となります。昔からよく知られたアレルギーで、古典的アレルギーといわれます。

●二つ目は自分の体の成分に対するアレルギー(自己あれるぎー)で、日光に当たって皮膚内にできるアレルゲンと反応する日光じんま疹、自分の汗と反応するコリン性じんま疹などがあります。この場合もIgE抗体が原因です。

●三つ目は肥満細胞表面を直接攻撃する抗体(自己抗体)が想定されています。これまでには、肥満細胞の表面にあるIgEに対する抗体だけしか証明されていません。慢性じんま疹、機械性じんま疹、寒冷じんま疹にはこのような物質が見つかります。この抗体はIgEだけでなく、IgG、IgMなどであるとされています。

予防は?

 じんま疹の原因はよくわからないことが多いのですが、明らかに原因がわかっている場合はそれを避けて下さい。

●慢性感染症:慢性じんま疹の原因の一つとされています。慢性の病巣感染があると、その細菌の毒素や死んだ組織などが原因物質となりじんま疹もよくならなことがあります。扁桃腺炎、虫歯、副鼻腔炎などがあれば、その処置をしましょう。

●食物:食物アレルギーが証明されたときは、その食物は避けなければなりません。しかし、単にじんま疹であるからという理由で、避けなければいけない食物はありません。

●薬:抗生物質、解熱剤の中にはいわゆるアレルゲンではないにもかかわらず、じんま疹を悪化させる作用をもったものがあります。このようなことがおきた薬には注意しましょう。

●吸入物:ホコリ、ダニ、花粉、動物の毛、フケなど、鼻や口から吸入するものに対するアレルギーがあるときには、皮膚から侵入することもあるので、触れないようにすることも大事です。

●物理的刺激:接触、圧迫、まさつ、温度差(温水、温風、寒冷など)、日光、水、運動などでおこるじんま疹の場合は、これらを避けなければなりません。

●心因:精神的ストレスが原因となっておこることもあります。親子、学校、友人などで良い関係を保ちましょう。

治療は?

 じんま疹が始まるきっかけとなった感染症が万一続いていると、じんま疹はよくならないので、まず一通りの全身の検査を行います。しかしたいていの場合は感染症はとっくに治っていて、アレルギーという傷だけを残しているのが普通です。

 次にアレルギーの検査をして、外来性の物質(食物、吸入物、薬)に対するアレルギーがばければ、あとは症状に応じて薬物療法を行います。最近は新しい眠気の少ない優れた抗アレルギー剤がたくさん出ていますのライフスタイルにあわせて処方されます。また症状が、全身におよぶひどい場合は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)も一時的に投薬されます。

 これらの薬は基本的には症状を抑えるだけですので、結局は自分の力でアレルギー症状がなくなるまで、すなわちじんま疹を起こす物質が血液中からなくなるまで、辛抱しなければなりません。薬の効果は、症状が非常に激しいときには効きが悪いときがありますが、症状が落ち着いてくるにつれて効きが良くなり、しだいに必要な薬の量も少なくなります。

関連サイトへのリンク