はしか感染、じわり増加中 フィリピンから流入か
国内ではしか(麻疹)の感染が拡大している。国立感染症研究所によると、今年の患者数は2月2日までで計62人。約1カ月で昨年の年間患者数の4分の1を超えた。流行期は春から夏にかけてなので、今後さらに増える恐れがある。検出されたウイルスは、約8割がフィリピンで流行中のタイプ。フィリピンで感染した人から広がっている可能性がある。
感染研によると、はしかの国内の患者数は、全例が報告対象になった2008年は1万人以上だったが、以降大きく減少し、昨年は232人。国内で以前流行していた土着ウイルスのタイプは、10年を最後に検出されていない。厚生労働省は15年度までに、土着ウイルスによって次々感染することがない「排除状態」を目指すが、このまま患者が増えていくと、この目標にも影響が出かねない。
予防にはワクチン接種が有効。だが、1回の接種で十分な免疫がつかない人が5%ほどいる。1歳児と小学校に入る前の1年間に計2回打つことになったのは06年からで、大人は1回以下の人が多いとみられる。感染研の多屋馨子室長は「接種の記録がなかったり、わからなかったりする場合は、ワクチン接種を受けてほしい」と話す。
はしかは感染力が強く、空気感染する。重症化すると肺炎や脳炎などを起こし、1千人に1人は亡くなるとされる。妊婦が感染すると、流産や死産になる恐れがある。
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