アレルギーの発症、保湿で減少 [2014年10月02日(木)]
 生まれた直後から皮膚の保湿を続けることで、アトピー性皮膚炎だけでなく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の発症を抑えられる可能性があると、国立成育医療研究センターが1日発表した。皮膚の防御機能が守られ、アレルギー疾患につながる原因物質が体内に入るのを防ぐためとみている。

 同センターで生まれ、アトピー性皮膚炎になった家族がいる118人の赤ちゃんを、1日1回以上全身に保湿剤を塗る子と、ほとんど保湿剤を塗らない子に、くじ引きで半分に分け、生後約1週から32週まで経過をみた。この結果、アトピー性皮膚炎になったのは、保湿剤を塗った子が19人、塗らなかった子が28人で、塗った子はアトピー性皮膚炎の発症リスクが32%低かったという。

 また、アトピー性の湿疹がある子とない子を比べると、湿疹がある子の方が卵アレルギーを発症している割合が高かった。

 アトピー性皮膚炎は、皮膚の乾燥などによって防御機能が壊れ、アレルギーの原因物質が体内に入りやすくなって起きるという説が有力だ。アトピーを入り口に、食物アレルギーやぜんそく、花粉症に移っていくと考えられており、保湿でアトピーを防ぐことで、その後のアレルギー疾患の発症も抑えられるのではないかとしている。

 センターの大矢幸弘アレルギー科医長は「今後、より大規模な研究を長期的に行い、アレルギー疾患を完全に予防できる治療法につなげたい」と話す。