◎予防
@禁煙!
・喫煙が肺癌発生に関係する最も大きな因子なのはご存じですか?
・喫煙の肺癌に対する寄与率は男性で67%、女性では14%。したがってタバコを吸わなくなると男性においては6割近く肺癌がなくなってしまいます。女性に関しては、腺癌というタイプの肺癌が多く、喫煙との関連はあまりありません。
・喫煙指数=1日の喫煙本数×喫煙年数 で表されこの指数が600を越えると肺癌発生が著しく増加します。
A他に大気汚染や総脂肪・飽和/動物性脂肪・コレステロールの多い食事の摂りすぎも発癌のリスクを高めるといわれています。一方では野菜、果物、カルチノイド、ビタミンC、Eおよびセレンなどはリスクを低下させる可能性があります。
以上まとめる「タバコを止め、肉食を控え、野菜と果物を多く取ること」が肺癌予防にいいということになりますね。
◎早期発見
肺癌を完治させる唯一の方法は早期発見、早期治療です。
自覚症状(血痰、長引く咳)が出てから病院を受診して初めて肺癌が発見される場合には進行癌が多く、早期肺癌(T期)は8%しかありません。
一方、検診発見率は52%ととても高いです。癌の治ったという一応の目安に5年生存率というのがありますが、これも症状が出て病院を受診した人では11%。すなわち100人のうち5年間生きておられるのはたったの11人ということになります。一方、検診での発見者では半数近く(44%)の方が生きておられるのです。(参考文献→西脇他)
みなさん、検診の意味がおわかりになられましたね。
「肺癌は予防と早期発見!」
このためいろんな検診システムが行われてきています。
@住民検診(胸部X線と喀痰検査)
私のいる津幡町でも今年から肺癌検診が実施されます。おとなり、金沢市ではすでに肺癌検診を実施しており、先に述べた西脇氏の報告とほぼ同等なとても良好な検診結果を出しています。
(金沢市の場合 石川県成人病検診管理指導協議会 資料より)
(X線検査)X線検査で癌が発見された率は人口10万人あたり64人になりますが、そのうち早期癌の人は52%です。
(喀痰検査)喀痰検査の方は、受診数が少ないので物をいうには不十分かもしれませんが、癌発見率は人口10万人あたり200人ちかくで、そのうち早期癌の割合は50%です。
(5年生存率)以上より検診を受けた人たちの5年生存率はなんと60%にも達するのに、症状が出て病院を訪れた人たちでの生存率はたったの10数%です。
AヘリカルCTによる検診
肺がんの早期発見を目指し、1987年の保健事業第二次計画で肺がん検診が老人保健制度に導入されてきましたが、98年3月の久道班の「がん検診有効性評価に関する研究班」の報告書の中で、肺がん検診は「有効性の評価が不十分」と判断され、精度向上の努力とCT検査の導入など、一層の早期発見の研究が必要とされています。
検診用CTでは撮影時間が短いこと、被曝量が少ないこと、濃度分解能・空間分解能の良好な画像が得られることなどが求められます。
この目的にあったCT装置として、ヘリカル(=スパイラル)CTが検診に適しています。
(引用文献)
西脇 裕、北條史彦、大松広伸ほか:検診発見群の特徴と治療の進歩。肺癌。癌と化学療法 25:1486-1942,1998
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