A 一般療法と食事療法
・単純性便秘では食生活、排便習慣に問題があることが多いです。規則的な生活、適度の運動、水分を十分摂取してください。排便習慣の改善も重要であり、便意の有無にかかわらず毎日一定の時間(特に朝食後)の排便を心がけて下さい。また食物線維の多い食品を摂るようにしましょう。食物線維は便の量を増やすことにより腸管の便の停滞時間を短くする作用があります。
・痙攣性便秘の場合にはコーヒーなどの嗜好品の適正化や心理的葛藤が存在することが多いことから、ストレスの発散なども大変重要です。食物線維が腸管の便の停滞時間を短くする作用があるのは痙攣性便秘でも一緒ですが、不溶性食物線維(干しえんどう豆・大豆・干し椎茸・かんぴょう・切り干し大根)は大腸に刺激を与えるため痙攣性便秘の人には不向きです。ご注意下さい。食べてもよい水溶性食物線維は海草類、こんにゃく、らっきょう、なめこなどです。
B 薬物療法
治療薬として下剤のほか、必要に応じて向精神薬も使用します。下剤を使用する場合には作用の弱いものを少量から徐々に増やし、不十分であれば作用機序の異なる薬剤を併用します。
基本的に刺激性下剤は単純性便秘には使用しますがけいれん性便秘に用いません。塩類下剤、膨脹性下剤はいずれの便秘にも使用できます。けいれん性便秘には向精神薬が有効な場合があります。
@ 酸化マグネシウム(カマ)分3 食後
塩類下剤という種類のもので便の中の水分量を増加させ便を軟化させる働きがあります。習慣性が少なく長期に飲むことができます。大量の水分とともに飲まれると効果的です。
A バルコーゼ 分3 食後
膨張性下剤は多量の水分で便量を増加(膨張)させる作用があります。習慣性がなく腸粘膜への刺激がありませんが、その反面、作用がゆっくりで、これ1剤では効果が少なく、他剤と併用されることが多いです。妊娠の可能性があるときは服用できません。
B プルゼニド 1‐2錠 1回 就寝前
これは大腸刺激性下剤で、アントラキノン系誘導体が主成分です。センナや大黄、アロエなどに含まれているものです。これは粘膜を刺激するので、「お腹がはって痛い」とおっしゃる方がおられます。妊婦さんでも服用できます。病院で出されるお薬でアローゼンも同じものです。またほぼ同じ手の薬で、ラキソベロンもあります。薬局で売っているお薬では、コーラックも同じ仲間です。
C ポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル・コロネル)
新しい薬で、特に痙攣性便秘の人にはお勧めです。腸管内でたくさんの水分を吸収して保持しゲル化し、便が軟らかくなり排便しやすくなります。また体内に吸収されることはないので副作用は少なく、長期にわたって連用しても効き目が落ちてくることはありません。通常、成人にはポリカルボフィルカルシウムとして1日量1.5〜3.0gを3回に分けて、食後に水とともに内服します。
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