学校伝染病 (日常みられる伝染病の管理と指導の要点) |
第1類 |
猩紅熱・ジフテリア・日本脳炎・コレラ、赤痢(含む疫痢)、腸チフス、パラチフス、痘瘡、発疹チフス、ペスト、流行性脳髄膜炎・ラッサ熱 |
第2類 |
第3類 |
結核・流行性角結膜炎・急性出血性結膜炎 マイコプラスマ感染症(肺炎)・手足口病・ヘルパンギーナ 伝染性紅斑(りんご病) ・溶連菌感染症・ウイルス性胃腸炎 |
第1類の伝染病は、法第14条にいう伝染病予防法に規定された法定伝染病と同一で、伝染病予防法による措置が適用されます。 |
猩紅熱(法定伝染病) |
確定診新には咽頭培養が必要です。潜伏期は2〜4日。ペニシリンが有効。腎炎などの続発症に気をつけてください。咽頭培養が陰性化すれば登校可能です。 |
ジフテリア(法定伝染病) |
患者数は少ないが保菌者は多いので注意。潜伏期は2〜5日。抗菌薬抗毒素血清と合併症に注意します。培養陰性が必須。 |
日本脳炎(法定伝染病) |
地域差、ブタなどの血清抗体の消長に注意。流行期にはワクチンの追加接種を。人から人にはうつりません。 |
(法定伝染病)コレラ、赤痢(含む疫痢)、腸チフス、パラチフス、痘瘡、発疹チフス、ペスト、流行性脳髄膜炎、 (指定伝染病)急性灰白髄炎、ラッサ熱 |
伝染病予防法の規定によります。 |
第2類(学齢期の主な伝染病) |
インフルエンザ |
冬期で、同じ症状のかぜ患者の同時多発で疑います。潜伏期は1〜2日、発症後3日間は要注意です。流行の程度によっては学級閉鎖を検討します。平成6年から予防注射は任意接種になりました。 (出席停止基準)解熱した後2日を経過するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
百日咳 |
三種混合ワクチンを受けていない児がかかります。夜間の頑固な咳。レプリーゼとリンパ球を主とする白血球増多症。潜伏期は7日,第4週まで感染の可能性。経過が長いので登校許可は慎重に。 (出席停止基準)百日咳特有の咳が消失するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
麻疹 |
典型的な麻疹は診断しやすい。しかし発疹が出現する前のカタル期はかぜ症状のみであり、他への感染を防ぐことは困難。潜伏期は11日。発疹後5日までうつる可能性あり。感染力は強く,免疫に関連して合併症に注意。 (出席停止基準)解熱した後3日を経過するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
ポリオ(急性灰白髄炎) |
潜伏期は1〜2週,排泄は数週。経口感染です。国内では野生ウイルスによるポリオの発生はありませんが、ときにポリオワクチンを服用した児の便を介して、他の人がうつるという場合が報告されています。 (出席停止基準)急性期の主要症状が消退するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
ウイルス性肝炎 |
A型肝炎が対象です。経口感染で、汚染された水、飲食物(例えば生カキ)によって起こります。B型、C型肝炎は主に血液を介してうつります。いずれも感染経路に注意します。以前はB型は母子垂直感染が多かったですが、国の防止事業により減少しつつあります。 (出席停止基準)主要症状が消退するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎・ムンプス) |
潜伏期は18〜21日。ウイルスの排泄は腫脹前後を通じて約3週に及ぶので、登校は慎重に。合併症は髄膜炎、睾丸炎、膵炎があります。 (出席停止基準)耳下腺の腫脹が消失するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
風疹 |
潜伏期は2〜3週。発疹後5日間注意。妊婦(前半)に感染すれば先天性風疹症候群の可能性。リンパ節腫脹、関節炎、血小板減少の合併症があります。免疫のない成人が予想外に多いので注意が必要。 (出席停止基準)発疹が消退するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
水痘 |
潜伏期は2週前後。出港停止は痂皮形成まで。有髪頭部の発疹が特徴的。接触直後のワクチンは有効といわれています。 (出席停止基準)すべての発疹が痂皮化するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
咽頭結膜熱 |
夏多く、プール熱ともいいます。病原はアデノウイルス3型または7型。高熱、咽頭発赤、結膜炎を約1週間認めます。潜伏期は3〜6日で、ウイルスの排泄は2週くらい続きます。 (出席停止基準)主要症状が消退した後2日を経過するまで。 病状により学校医その他の医師がその伝染病の予防上支障がないと認めた時はこの限りではありません。 |
第3類(上記以外に注意を要する伝染性感染症) |
結核 |
咳が長い、食欲がない、顔色が悪いのほか、診断には胸部X線検査、ツベルクリン反応陽性、菌培養を、発病がなくとも INAH の予防投与を考えることもあります。 (出席停止基準)治癒するまで。 学校医その他の医師が適当と認めた予防措置をした時または病状により伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。 |
流行性角結膜炎 |
病原はアデノウイルス8型、ときに3型、19型で、潜伏期5〜7日、伝染性高く、潰瘍を形成します。ウイルスは眼分泌物に排泄され、抵抗力が強いです。 (感染期間)発病後2〜3週。 (出席停止基準)治癒するまで。 学校医その他の医師が適当と認めた予防措置をした時または病状により伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。 |
急性出血性結膜炎 |
エンテロウイルス70型が分離されています。潜伏期は24時間。結膜下出血は約10日で治癒します。 (感染期間)発病後4日。 (出席停止基準)治癒するまで。 学校医その他の医師が適当と認めた予防措置をした時または病状により伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。 |
マイコプラスマ感染症(肺炎) |
細胞壁を欠く細菌のため、平常使用される(壁合成阻害作用)抗菌薬は無効。咳の長引く風邪に間違えられることがあります。潜伏期は1〜3週と長いです。4〜8週間は排菌します。 (出席停止基準)有熱期、及び強い咳のある間。 |
手足口病 |
エンテロウイルス(コクサッキーウイルス A16 A10、エンテロウイルス71など)の感染。 潜伏期間は3〜7日。咽頭から1〜2週、糞便から3〜5週排泄されます。 (出席停止基準)有熱期間中または嘔吐など合併症を思わせる症状のある間。ウイルス排泄が長期におよぶため感染防止の為の登校停止は無意味です。 |
ヘルパンギーナ |
病原はコクサッキーウイルスA群であって、手足口病とヘルパンギーナのいずれも乳幼児に、夏期に多くみられる流行病で口内炎を主症状とし、潜伏期は3日と短い。ウイルスの排泄は発症後7日間以上の長期に及びます。 (出席停止基準)有熱期中。ウイルス排泄が長期におよぶため感染防止の為の登校停止は無意味です。 |
伝染性紅斑(りんご病) |
ヒトパルボウイルス B19 の感染。潜伏期は17〜18日と長いですが、発疹出現時にはウイルスの排泄はないといわれています。妊婦への感染は流産につながる場合があります。 感染後5〜10日は人にうつしますが、その期間は、誰も伝染性紅斑と診断されません。実際に、発疹が出現し、診断されたときは、もう他人にはうつさないといわれています。 (出席停止基準)発熱、頭痛、合併症を疑わせる症状のある間。上述したとおり発疹があっても出席停止にはなりません。 |
溶連菌感染症 |
A群溶連菌による感染症で、咽頭発赤と体に特徴的な発疹が出ます。放置すれば腎臓病や心臓病を起こすことがあるので、きちんと治す必要があります。 この病気は実は第1類に分類される猩紅熱と同じものです。昔、抗生物質がない時代には、大変恐ろしい病気だったのでしょう。きちんと管理すれば、怖い病気でなくなった現在でも、法律上は法定伝染病に分類されています。法律が立ち後れており、実際的ではないため、最近は猩紅熱という病名をつけず溶連菌感染と呼ばれるのが普通です。 治療開始後1-2日は人にうつす可能性があります。 (出席停止基準)有熱期間、発疹のある時期 |
ウイルス性胃腸炎 |
ロタ、アデノ、小型球形の各ウイルスによるもの多く、年間を通してみられますが、冬期に集中。潜伏期は1〜3日で、症状がある間はウイルスを排泄します。感染期間はロタで発病後7-8日間、小型球形ウイルスで3日間程度といわれています。 (出席停止基準)症状が消失するまで。 |
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