川崎病 |
どんな病気? |
●特徴: 全身の血管に炎症を起こす病気です。全身臓器の炎症性病変も伴い、頭のてっぺんから足の爪先まで極めて多彩な合併症をもつ病気です。 ●好発年齢: 4才以下の子供に多く、男児にやや多い傾向があります。 ●原因: 原因は未だに不明ですが、流行がみられることや兄弟での発症もあることから、感染症と免疫反応が関係していると推測されています。 |
●症状:
主要症状は以下の6つで、このうち5つ以上があると川崎病と診断します。 1)5日以上続く高熱。 2)手足の先が赤くなり、硬く腫れる(紅斑と硬性浮腫)。回復期に指の先から皮がむける(膜様落屑)。 3)体に赤い発疹ができる(不定形発疹)。 4)目が赤くなる(両側眼球結膜の充血)。 5)口唇が赤くなり、イチゴ舌、口腔粘膜が充血する。 6)首のリンパ節が腫れるが、化膿はしない。 |
ただし、4つの症状しか認められなくても、経過中に心臓超音波検査、もしくは心血管造影法で心臓の冠動脈瘤(動脈の脆いコブ)が認められれば本症と診断してもよいことになっています。不全型(非典型例)も7%前後みられます。 留意すべき参考条項 1)聴診所見、心電図の変化、胸部X腺所見、心エコー所見、狭心症状などの心血管症状。 2)下痢、嘔吐、腹痛、麻痺性イレウス、肝機能検査の異常などの消化器症状。 3)白血球増加、赤沈の促進、CRP陽性などの血液検査所見。 4)蛋白尿、尿沈渣の白血球増多。 5)BCG接種部位の発赤、痂皮形成、小膿庖。 合併症としての心血管障害 発熱1週間前後で心筋(心臓の筋肉)、心膜(心臓を包む膜)、心臓の弁、冠動脈(心筋に血液を送っている血管)に炎症が起こり、2、3週間目が最も変化が強く、40%前後に冠動脈の拡大や冠動脈瘤が認められます。その後、血管拡大病変は次第に縮小して、1ヵ月後に20%、2ヵ月後に10%、1〜2年後に3%に冠動脈病変を残します。冠動脈瘤の内径が4mm以下の小さな動脈瘤は殆どは自然に小さくなりますが、8mm以上の時は冠動脈瘤内に血栓(血のかたまり)が出来やすく、血栓が血管に詰まり、心筋梗塞を起こすことがあります。ガンマ・グロブリンの大量点滴療法をできるだけ早く(発病7日以内)に行えば冠動脈病変率を15%以下にまで低下させることができるのでご安心下さい。 |
予防は? |
残念ながら特にありません。(^^;) |
治療は? |
1)入院治療が必要です。 2)炎症を抑え、血液が固まりにくくするアスピリンなどの抗凝固剤。。 3)合併症の冠動脈瘤を予防するため、ガンマ・グロブリンの大量点滴療法を行います。 4)症状によってはステロイドホルモンを用いることもあります。 経過: 順調に行けば上記の症状は約1ヵ月で消失し、退院できます。退院時に冠動脈病変がなければ日常生活に制限なく、年1回の定期検診で大丈夫です。冠動脈病変があれば定期的に心電図、胸部X線写真、心臓超音波検査、心臓カテーテル検査が必要となります。 致命率0.3〜0.5%、再発率2〜3%。 |
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