ユーじいとトンくんのよもやま話 第6話 (平成19年1月) |
「食育から始めよう!」 |
まだ お屠蘇気分も抜けない ある日曜日の朝。窓の外は昨日から降り積もった雪でキラキラ輝いている。垣根のサザンカの赤がまぶしい。 ユーじいが腹囲を測っている。 「うぉっ! 87cmもある・・」 トンくん 一体どうしたの? ユーじい 最近、おなかまわりが気になってねぇ。ちょっと腹囲を測ってみたんだ。そしたらね、87cmもある! あ〜ぁ、やっぱりメタボだぁ。 トンくん メ、メタボォ? ユーじい そう、メタボリック・シンドロームのことさ。トンくん知らないのぉ? トンくん な〜んだメタボリック・シンドロームのことか。勝手に略さないでよ。 ユーじい ごめん、ごめん。ところでメタボリック・シンドロームのことだけどさぁ、高血圧や糖尿病にはね、お腹の中の脂肪(内臓脂肪)がすっごく関係しているんだってこと、最近になってわかってきたことなんだよ。昔は、血圧が高ければ血圧の薬を飲む、糖尿病があれば血糖降下剤を飲むというだけで治療が完結している気になっていたんだ。でもね実はお腹の中の脂肪細胞がいろんな悪いホルモンを出して高血圧や糖尿病を引き起こすことがわかってから、「諸悪の根源はお腹の脂肪! 元から絶たなくちゃダメ!!」って言われることが多くなったんだ。だからユーじい最近やたらとお腹まわりが気になってきちゃったぁ。 トンくん そういえば、ボクの友だちがさ、風邪でユーじいのクリニックを受診したとき、診察室に入るとすぐ、ユーじいが熱い目でお腹をジッ〜っと見てくるんで その友だち「変だなぁ」と思ったんだって。そしたら いきなりメジャーを取り出し 友だちのお腹を測り出したんだってね。その子 とっても恥ずかしがってたよ。 ユーじい へへぇ。そんなことあったけぇ? トンくん おおっ、「あなたはメタボリック・シンドロームかも?」って判定されたよ。ハハハァ、このままの食事を続けると6ヶ月後には、ユーじい こんなに お腹が出てくるんだね。おおぅっ、何と不様な姿。ユーじい、ごはん食べ過ぎなんだよ。 ユーじい フフフゥ(不敵な笑い)、トンくんは どうなのさ。ユーじいは知ってるぞ。トンくんが、おもちゃ欲しさにマクドナルドでハッピーセットをいつも食べてるの。チーズバーガーとマックフライポテトMサイズ、それにコーラMサイズで一体何カロリーあるか知ってるのぉ? トンくん ご飯を食べた後でも すぐに おやつ代わりに食べられるから 400カロリーくらいかなぁ? ユーじい ブッブゥ〜。チーズバーガー 303、マックフライポテト 420、コーラ 140、締めて863カロリーもあるんだよ。特にトンくんが一日に摂ってもよい脂肪分の60%を、このセットだけで摂っちゃうことになるんだ。高脂肪食は、単にカロリーが高いだけでなく脳内のエンドルフィンという快楽ホルモンの分泌を高めるんだって。これが麻薬のようにように働き「また食べたくなる」ようにするんだってよ。トンくん、「スーパーサイズ・ミー」(*2)というビデオ、TSUTAYAさんから借りてきて見たことあるでしょ。三度三度マクドナルドばかり食べるとどうなるか監督自身が出演して体験報告してるんだけど最初は、マクドナルドハンバーガーを食べると、吐き気をもよおしていたのに、途中から「これを食べると気持ちよくなる。食べずにいられなくなる」と言い出す場面があるよね。 トンくん なるほど、でもたまに食べるのならいいよね。 ユーじい うん、ユーじいもそう思う。ただ得てして「たま」じゃなくって「いつも」になっちゃうんだよね。食生活が欧米化してきたって言われて久しいけれど、現在も小学生の高度肥満者(肥満度50%以上)は増加傾向にあるんだよ。(*3) 子どもたちとメタボリック・シンドローム ユーじい うん、とてもいい質問だね。実は子どもではね、腹囲と内臓脂肪とを関連づけたデータはないんだ。でも高度肥満の子は、少なくともメタボリック・シンドロームと考えても間違いないだろうね。この子たちは明らかに中性脂肪や血圧が異常に高いんだ。高度肥満児ばかりでなく、もっと肥満度が低い子も要注意だよ。 食育の重要性 トンくん 確かに、食事を大切にしたりすることは大切だよね。先日、テレビ番組で お笑いの人が、マグロ一匹をゲボを吐きながら食べていたよ。ああいうの見ると日本の食生活は病んでると さすがのボクも思ったね。 ユーじい そうなんだ。今のうちから子どもたちに本当に大切なことを教えてあげるのは大人の務めだよね。「子どもに伝えたい本物の食」(*4)は、現代人が抱えている いろんな問題点をわかりやすく説明していて面白かった。一度読んでみてよ。 食事バランスガイド トンくん ラーメン! ユーじい ラーメンだとね、主食で2単位食べたことになるんだよ。食事バランスガイドでは単位とは言わなくて「つ」とか「SV(サービング)」と数えるんだけどね。 トンくん ふ〜ん、なるほど。じゃ、今晩食べるカツ丼は? ユーじい カツ丼はだね、え〜っと、主食2つ、副菜1つ、主菜3つになるね。 トンくん でもね、ラーメンにしてもカツ丼にしても、それぞれのお店によって随分 食べる量って違うでしょ。こんな数え方だと、けっこう大雑把じゃない? ユーじい ワハハァ、トンくんの言うとおり。これを作った人たちの間でも「これって、偉大なるアバウト!」と囁かれているんだよ。 トンくん どれどれ。 ユーじい ほらトンくんは、いつも朝食にご飯一杯、目玉焼きとお味噌汁ね。それから昼食と夕食、それにおやつも食卓にのせてね。それからヨーグルト。ほぉ〜らね。1日に摂取したカロリーや各栄養素が簡単に計算できるでしょ。食事バランスガイドの評価と栄養士さんがいつもやる細かい計算を同時にコンピュータ処理しているところがユーじいのアイデアなんだよ。(自慢げ) トンくん へぇ〜、そんなもんかね。 ユーじい これによると、ユーじいは毎日2,400〜2,600カロリーくらい食べてるんだろうね。ときに お酒を飲んだりすると見境がつかなくなり、夕食をお腹いっぱい食べた後、ラーメン「ラ王」なんかも食べちゃうもんだから、ウッオーッ、3,500カロリーにもなっちゃった! トンくん フーン、道理でユーじいのお腹がそんなに出てるわけだ。(嗤) ユーじい しばし沈黙。 解明されつつある生活リズムと心の関係 トンくん へぇ〜、国によってずいぶん違うもんだね。日本の子どもたちが一番夜ふかしで、トータルの睡眠時間も少ないね。 ユーじい そうなんだ。遅寝が さっき言った食生活の乱れを起こすだけでなく、メラトニンやセロトニンというホルモンの分泌不足を起こし、子どもたちに心身ともに悪影響を及ぼしていると言うんだよ。 トンくん じゃぁ、セロトニンは? ユーじい セロトニンはね、これの働きが悪いと攻撃性や衝動性が高まり、いわゆる「キレ易い」性格になると言われるホルモンなんだ。また社会性の低下も惹き起こすと言われているよ。 トンくん う〜ん、そりゃ大変だ。 ユーじい そのうえ遅寝、遅起は、慢性的な時差ボケ状態を招き、本来 体内時計のリセットに最も重要な「朝の光」を浴びず、日中も運動不足になる。そのため心身ともに悪影響を及ぼし、それが家庭や学校での対人関係にも悪影響を及ぼすという連鎖に現代っ子は陥っていると言うんだ。 トンくん なぁるほど! ユーじい 「ぐっすり眠ってメラトニン。朝日をあびてセロトニン。元気に外遊びして、またセロトニン。さぁ、心の元気を取り戻そう!」ってことになるよね。(笑顔) 24時間煌々と輝くコンビニ、所構わず鳴り響くケータイ、ご両親が忙しすぎて一人淋しく食べる食事。 結局、子どもを健全にするためには、大人たちが変わらないといけないということなんだろうね。 今初めて気がついた気がするよ。 可愛い子どもたちに明るい幸せな未来を築いてほしいからね。 トンくん そうだね、ワン (*^v^*)
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関連サイトへのリンク |
以下を参考にしました ●(5)神山 潤さんの本とホームページ |