(ヘリカルCTの原理)
 X線管が連続回転している中を、被験者の乗ったテーブルが連続的に移動するようになっています。このためX線ビームが被写体に対してらせん状にスキャンすることになり、被験者の連続ボリュームデータが得られます。この方法により、従来のCTに比較すると良質な画像が、格段に短い撮影時間で得られるようになりました。しかも被爆量を非常に少なくすることができます。
 
(ヘリカルCTの驚異的な威力)
肺野におけるヘリカルCTの威力は絶大です。これについては呼吸器科の「肺癌におけるヘリカルCT検査」を見て下さい。

 

CTがとても有用な病気(MRIとの比較)

頭部CT

(ファーストチョイスとなる病気)
・病気が始まったばかりの、クモ膜下出血、脳内出血
    (以上の二疾患は出血なのでMRIではほとんど診断がつきません。)
・頭部外傷
    (やはり緊急時の出血ですからMRIでは役にたちません。)

(ファーストチョイスだが引き続きMRI検査が必要な病気)
・病気が始まったばかりの脳梗塞
    (CTでは6時間以降に低吸収像、MRIでは3時間で異常所見が出ます。)
・脳腫瘍

(MRIの方が一般的に優れているもの)
・クモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤の発見(脳外科領域)

胸部CT

・すべての肺の病気はCTが圧倒的に優れています。

(ファーストチョイスだが引き続きMRI検査が必要な病気)
・縦隔の病気(胸の血管、リンパ節など)

腹部CT
画像的にはCTとMRIはほぼ互角ですが、それぞれの疾患で異なります。
骨盤腔内CT
MRIの方がかなり優れています。
脊椎、軟部組織(主に整形外科領域)、
MRIの方がかなり優れています。

 

ヘリカルCTとMRIの比較
  ヘリカルCT MRI
ファーストチョイスとして適応となる病気

急性の脳血管障害(外傷、脳出血、クモ膜下出血)

副鼻腔、咽頭、喉頭など

胸部肺野

腹部

腫瘍、変性疾患、亜急性、慢性期の脳血管障害

骨盤部

撮影時間 数分以内 30分〜1時間程度
X線被爆 あり

なし