小児の急性細気管支炎は、乳幼児における細気管支を中心とした下気道の、主としてウイルスによる感染性炎症性疾患です。原因となる病原微生物としてはRSウイルス(以下RSV)が代表的で、これらの直接侵襲により細気管支に上皮の壊死脱落、浮腫、分泌亢進が生じるとされています。
この結果、気道内径の細い乳児では容易に気道の狭窄または閉塞をきたし、呼吸不全に陥りやすくなります。
診断は、胸部X線像で肺気腫および気管支周囲の浸潤を認め、理学的に喘鳴、ラ音、努力性呼吸などの呼吸障害を認めるときに本症を考えます。市販の迅速診断キット(テストパック)によるRSV抗原の確認も有用です。年長児では感染による喘息発作との鑑別がときとして困難ですが、治療上問題となるのは、3〜6か月未満の乳児、ことに低出生体重児、心肺に基礎疾患を有するなどのハイリスク児の重症化および無呼吸発作です。 |